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料理道具で味を識ろう (シリーズ#1) すり鉢と胡麻編  開催報告

2015年8月29日 @オーガニックごはん「かえもん浅草本店」(浅草、東京)
差を識るプロジェクト第4回目のイベントは、料理道具屋であるつきじ常陸屋廣田有希さんと開催した料理道具をから学ぶシリーズの第1回目、すり鉢と胡麻編です。今回は初の浅草開催となり、オーガニックごはん かえもん浅草本店さんにて、お子様を含む4人で開催しました。差を識るプロジェクトが目指す、様々な世代を超えた参加者でのイベントとなり、参加者の最年少記録更新です!
本来であれば、すぐにイベント報告に移るのですが、今回はこのイベントを企画した経緯について少し書きたいと思います。
料理道具のイベントを開催するきっかけ
廣田さんから、和食は食材や技術だけでなく、料理道具も大事な構成要素なのだと伺った時、すっと腑に落ちたと同時に、私自身の知識の儚さと使用経験の少なさを感じました。それほど料理に興味のない両親の元で育った私は、祖父母がもつ沢山の料理道具を見ることがあっても、使うのを見たことがあるのは限られたものでした。
もちろん、両親から十分の食事を与えられ、成人まで成長することができた訳ですが、日本に産まれ、育ったのに、近くの、昔からの道具を知らないというのは非常に不思議で、ちょっと残念な気がしました。そして、自宅や祖父母の家の奥で眠っている道具が少し可哀想になりました。実はこんな風に感じた残念な気持ちや使われない道具への気持ちが今回の料理道具のイベントを開催したいと思ったきっかけでした。
一方で、最近、子供たちが摂取している食事の「差」も気になっていました。色々な家庭環境の違いにより、大人の世代が子供の時に食べていたような大衆的な食材であっても、食べたこともないし、存在する知らないと。もちろん、給食の食材で識ることも多いとは思いますが、廣田さんとこの現状について意見を交換し、決めたことがあります。
私たちのイベントで使用する食材は、どんな子供でも知っている身近な食材にしよう
より多くの人が知っている食材を題材とし、普段、使用する機会が少ない料理道具を使ってみる機会を得て何かを持ち帰ってもらうこと。そんなイベントを目指してイベントを企画しました。
今回のテーマは「すり鉢と胡麻」
すり鉢と胡麻で、すり胡麻 を作ることは少なくなり、すり胡麻が必要な時はスーパーで購入することが多くなった現代。私自身、すり鉢は持っておらず、すりごまが欲しい時はすりごまを買っていました。でも、すりごま自体、量が消費できず、酸化していたすりごまを食べていたと思います。
最近は小どんぶり位の大きさのすり鉢もあるそうで、下の写真の左にあるようなおしゃれなすり鉢も! 今回のイベントでもこちらのすり鉢を準備頂きました。私のイメージは大きな茶色のすり鉢でしたが、少人数の家族でも十分に使える位の大きさのすり鉢もあるのですよー。(下の写真は、今回のイベントの写真より引用しました。)
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今回は煎りたての胡麻も味わって欲しいと思い、上の写真の右側にある焙烙も準備して頂きました。この道具は胡麻だけでなく、お茶や大豆、コーヒーなども遠赤外線でじわっと焙煎できる道具です。私は廣田さんと出会って初めてこの道具を知りました。
これらの道具について触れる前に、題材の胡麻について廣田さんが可愛い紙芝居で説明してくれましたよ。日本で作られている胡麻についてや世界のごま事情など多岐にわたって興味深いお話をしてくれましたが、私が衝撃をうけた紙芝居はこちら!
大さじ2杯のごまの栄養を「聞いて驚け!」
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なんと牛乳1本分のカルシウムも始め、聞いて驚く素晴らしい栄養価! 同じ位インパクトがある紙芝居が沢山紹介されましたよ。
こんなお話を聞いてから、4歳児の男の子がごますりを体験! 好きなところでやめていいよーといったところ、彼なりのベストタイミングを見計らっていたのか、「うーん、もう少しかなぁ」と考えながらできたすりごま。実は彼はごまが嫌いなのだそう。
そんな彼は自分の擦ったごまを食べた!!!
でも、この時はまだ、「ぼく、ごま嫌いだもん、味が濃いよー」とお話していました。
この後、すりごまと大豆を使った簡単お菓子の作り方を廣田さんに実演してもらい、その姿も見ていた彼。焙烙での焙煎、ごますり体験、甘いお砂糖を使ったごまのお菓子作りもみて、ごま三昧の時間を経て、お食事です。
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かえもんさんから提供いただいたお食事は以下の通り。
  • 無農薬の塩むすび(白米)
  • 酵素玄米のおむすび(味噌入り)
  • 野菜の塩麹炒め
  • お味噌汁
このお食事と一緒に食べ比べたのは、
  • 煎りたてのごまで擦ったもの(金ごま)
  • 国産の未開封のいりごまで擦ったもの(黒ごま)
  • 海外産の未開封の市販のすりごま(黒ごま)
私が感じた、すり鉢で擦ったすりごまと市販品との味の違いは味の複雑さ。いつも食べていたすりごまでは感じない色々な旨味が感じられます。食材によっても味が変化するのも楽しい。ごちそうをいただいているなと感じるものでした。煎りたてのものは味の複雑さに香ばしさが追加され、色々な旨味に変化が生まれます。参加者の皆様も違いがはっきりしてますねーとコメントしていました。
さて、あの胡麻が嫌いな4歳児の動向が気になりませんか??
大好きなおにぎりを堪能しながらも、ちよっとすりごまが気になるようで、そーっと自分ですりごまにチャレンジしていました。そして、1回だけでなく、もう一回すりごまを口に運ぶ彼。大人はみんなニンマリです。
最後に彼に聞いてみました。胡麻は好きかな??
胡麻、好きになったよ
この一言を聞いただけでもイベントを開催してよかったなと思います。
初めての開催で、至らない点もありましたが、参加していただいた皆様、料理道具の沢山の知識と楽しいごまの紙芝居を忙しい中作ってくれて、イベントを一緒に考えてくれた廣田有希さん、そして会場とお食事を提供して頂いたかえもんさんに感謝いたします。
皆様、料理道具が気になったら、築地の常陸屋さんに遊びにいってくださいねー。